2014/06/29

手漉き和紙青年の集い新潟大会・その①

全国の和紙職人さんはじめ、作り手だけではなく
和紙の使い手さんや、紙の問屋さんなど紙にまつわる
さまざまな人人が集まる「手漉き和紙青年の集い」
今年は新潟が舞台。

実はこの手漉き和紙青年の集いのことを初めて
聞いたのは去年の秋、沖縄で琉球紙を漉いて
おられる安慶名さんを訪ねた時だ。
これから紙漉をはじめるワタシに、寡黙だけど
親切にいろんな紙漉さんを紹介してくださった。
そして「この集いにぜひ行ってみて下さい。」と。
その次は今年の1月、突然訪れた龍神村の奥野さん。
奥野さんにも勧めていただいた。
そして3月の埼玉からきたカラちゃん!
こんなに不思議な繋がりで出逢ったみなさんに
勧められる「集い」。行くしかない!
新潟に行ったのは2年前のちょうど今くらいだな、
東北12日間のタビに出た時も北陸自動車道を
はじめから終わりまでつっきた。懐かしい。
しかしこんな遠かったかなぁ〜と
ドライブを楽しみつつ。
ついた!!!

新潟には紙漉屋さんが多くがんばっていらっしゃる。
まずは初めての長岡「アオーレ」という駅前の
ステキなプラザで。この建築、高知の梼原でも見た
隈研吾さん。すごくいいな、と感じたのは
役場の人がみんなガラズバリで見えることと、
半お外のカフェテラスで打合せとかしている姿。
これいい。
基本的、役場って見えにくいし閉鎖的だし、
ワタシも役場で作業苦手だし。
こういう開放感ある場所なら自由な豊かな発想が
生まれてきそう!

それはさておき、会が始まって右も左もわからず、
一人でドギマギしながらみなさんの自己紹介や
持ってこられた紙などを見た。
本当にたくさんの方が来られていて、そのなかで
お!奥野さん。そして!杉原紙のお二人。
知ってる顔を見つけてホッと一息。
どちらも久しぶりにもかかわらず、気さくに
話しして下さった。なんだか楽しくなりそうな予感。


その後、2階へ移動して4つに仕切られたブースで
それぞれでテーマを上げた人を中心に進められ、
みなさん好きなブースへ行って話し合った。
ワタシが聞いたブースでは「機械漉き」の紙や
今、世の中で流通している「和紙」と呼ばれるモノの
現状について熱く熱く討論されていた。

昨年秋、鳥取で道具保存会のみなさんの集まりに
参加させてもらい、疑問を持って、頭を悩ませた
まさしくその問題だった。
「ホンモノ」じゃない、つまり外国で作られても
「和紙」だという事や、キチンと表示されずに
手漉きでこだわって作っている紙も
機械で大量に作られている紙も、一緒くたに
販売され、紙の問屋さんからは値段に見合った
紙を作るよう要求される(つまり安く作るよう)。
イヤでもそうしなければ、食べていけない。

その時、紙漉の世界がちょっとイヤになった。
「ホンモノ」って何?
消費者に左右される価格でつくる紙漉って何?
敷居の高いのも、消費者に合わせた安価な
紙漉もどっちもわからん。
いや、ホンモノはホンモノで敷居が高くてイイ。
機械漉きもそれはそれでいい。
どうしていがみ合いが起こるんだろう・・
面倒だな。
そう思ってた。
だから「和紙」が苦手になった。
だけど奥野さんやカラちゃんにあって、
いろんな紙漉があって良いと思えたし、
ワタシはワタシでやればいい。
きちっとこだわって作られてる紙には
尊敬の意を表して「和紙」と
ワタシは呼びたい。どうも、それを
「生紙きがみ」と呼び始めているようだけど。

機械漉きをされてる因州和紙の次世代、
同世代の方の話も聞けたし、ホントに
それはそれでワタシは新しい紙をとして
あって良いと思ったし、問題は機械で漉くか
どうかじゃない。
使う側に問題がある。
消費者に問題がある。

紙問屋さんの世界はすごいマスメディアと
同じ世界だと思う。
視聴者が見たい番組、情報、報道の仕方。
視聴率を上げるために、全くおもしろくない。
番組を作るプライドはないのかしら?
そしてそれを望む相変わらずな人人。
紙問屋さんも消費者に合わせて、安く大量に
「和紙」を売っていることで、プライドがない。
あいまいな表記をする。
食べ物や日用品のように表示の決まりが厳しくない。
卑怯だ。
正々堂々と「コレは機械漉きで、原料は海外のもの」
「こちらは手漉きで、国内産の原料使用」って
ハッキリ表示して、それ相当の価格で売ればいい。
安い方へ手が伸びる消費者も多いけど、
今は違ってきてるはず。
イイモノハイイと思える人も増えてきている。
消費者も何でもかんでも売り手任せにせず、
疑ってみたり、もっと売り手に質問したりすればイイ。
もちろん、消費者を守る決まりも必要だけど、
必要以上に決まりがありすぎる。
そんなの本当にあほらしい。
大きく言えば「自分のことは自分で守る」だ。
騙されても騙された人にも問題がある。
消費者を過保護にすることで、イイモノヅクリが
どんどん日本から消えていくような気がする。

ちょっと紙漉業界から話しがそれたけど。
紙漉業界は「地域おこし」ともそっくり。
自然に優しく、地元で採れた材料で作る紙。
だけど、それでどうやって食べていくの??
結局「どうやって稼ぐか?」お金にするか。
という話しになってしまう。
まだまだ答えは見えてこない。

その晩の懇親会でたまたま隣にいらっしゃった小国和紙の
小林さんというおっちゃん、すっごいいい人でずいぶんと
緊張がほぐれた(お酒のせいもあるけど…)。
あの有名な日本酒「久保田」のラベルは小国和紙さんや
門出和紙さんですべて作られている。
その他の朝日酒造さんのお酒のラベルも一部かな、
小国和紙さんでは作られているそう。
小林さんはそのラベル漉き専門家。
なんだかんだいっても、イイ出逢いがあって紙漉が好き。
そしてもっともっと、紙漉の世界を発信したい。

ーーーーつづく

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