2016/01/19

高知・黒潮町「若山楮【刈り取り・蒸し剥ぎ】研修」その3

>> その2のつづき

今年の楮の収穫量は約2t弱
(去年1700kgより多いくらいかな?)

お天気のいい日は作業も進む。
刈り取った楮を束ね、枝を払い、
縛り、軽トラに積む。
何度も何度も繰り返す。
縛り方と位置に注意。

イベントの会場ともなる、56号線沿いの広場。
山積みになった楮。
昨日の続きで、押切で1mに揃えて切っていく。
太い幹はなかなか大変。
さらにそれをまた束ね、縛る。
ここも縛り方注意。

山になった楮を見て、いつカットが終わるのか
心配になってる頃、役場の方と
黒潮町地域おこし協力隊が登場。
すごい!サクサク切れる!
さすが、男手大事だなぁ〜
翌日からはじまる蒸し剥ぎの準備をして
無事に終了。

中嶋さんや若山楮のことが大きく
取り上げられている「チルチンびとNo.75」

この日から作業所センターに泊まりこみ。
みんなが集まってきて直ぐに剥げるよう、
朝4時から火をおこし蒸しあげておくためだ。
まだ真っ暗なうちから釜に火を入れていく。
上手く蒸せているだろうか。

少し明るくなってきた頃、お芋の匂いが
立ち込める。実際、径1mくらいに束ね
立てた楮の上にザルに入れたサツマイモを
乗っけて、一緒に蒸している。
だけどこの匂いはお芋じゃなくて、楮の匂い。
この匂いがお芋にも移ってよりおいしくなるそう。




蒸しあがった楮に、まんべんなく水をかける。
皮が少し縮んで中の木部が見えてる。
すぐさま乾かないよう、冷めないよう、
毛布にくるむ。
事前に用意していた次のタマ(楮の束)を
大人数で起こし、釜の上に立てる。
この時鍋に沈まないよう、セイロのように
隙間の空いた板を敷く。
釜にもたっぷりなみなみと水を足しておく。
大きな釜だけど、3時間蒸している間に
水が蒸発し、空焚きになることがあるからだ。


みんなで輪になって剥いでいく。
基本、モト(根の方)から。
親指の股に枝をしっかり挟んで、
グイグイっと捻ると、皮の一部に切れ目が
でき、そこからグイッと皮を完全に裏返す。

そして、大事なことはスッポン剥ぎに
ならないよう、しっかり枝を立て、

斜め45度にサーッと下に引いていく。
ウラ(枝先の方)がクルッと丸まったり、
筒状のままになってることがあるので
気をつける。

簡単にむけてしまう分、おしゃべりに
夢中になってると皮がきれいにひっくり返って
ないまま剥けてしまい、スッポン剥ぎになる。
これが後々の作業でとても手間取らせる。
また、枝や節のある所で切れ目が出来やすいが、
できるだけ1枚の皮になるよう、適度な力、
スピードで剥いて行く。
中の木部は本当にツヤツヤしていて
真っ直ぐで美しい。
焚付に使うというのだけど、
何か作れないのかな。

窯の火の調整は慎重に。
温度が低すぎるときれいに蒸せないし、
火力がきつすぎると空焚きになり、
焦がしてしまう。
火の番をしながら剥ぐ作業をする中嶋さん。


きれいに剥げた。

剥いだ皮が貯まれば、適量を決まった
結び方で縛り、竿やロープに干していく。
この縛り方も大事。
それぞれがバラバラの縛り方をすれば、後で
解いて行く時に作業に手間取る。
みんなが同じように結ぶことが大事。



蒸し剥ぎ作業は沢山の役割がある。
剥ぐ人、中身の棒を束ね集める人、
剥いだ皮を集め束ね干す人、
干すための場所を作る人、
次に蒸し上げるタマを準備する人、
火の番をする人などなど。

タマツクリは楽しい。
できるだけ多くきれいに樽に入るよう、
形を整え、荷締めベルトでギュウギュウ
体重とケリを入れて縛っていく。

地元の小学生も来て体験。
体験だからといって力は抜かない、厳しい。
これは「売り物なのだ」としっかり
中嶋さんは説明する。大事なことだ。

剥ぐ時に黒い皮の部分は大方払うだけで
取られる。多少ついていても、乾いたり
あとの作業の時にほとんど落ちてしまうので
気にしない。
この黒皮も集めて畑の肥料にする。
無駄がないな。

薪割り・・難しい。
変に力が入って、腰が入ってない。
要練習。

関東から移住したジャンベプレーヤーの
ご夫婦も手伝いに来られていて、ご主人が
作ってきてくれてお魚のミネストローネ。
最高に美味しい。
高知ってホントおいしい。

熟練コンビ。右、ゲンさんは前会長さん。
みんなが恐れる?(あおられる)仕事人。
おばちゃまもおじさんも、おじいちゃんも
みんな元気。




研修最終日もいいお天気。
この日はお隣にごはんやさんも出たり、
また別の小学校の親子体験などがあったり、
いろんなところからいろんな人が参加して、
大賑わいの「蒸し剥ぎ」イベントに。

干した楮の天地返しや、まだまだ残る
蒸し剥ぎを残し、1月にまたお世話になる
約束をして黒潮町を後にした。
濃い濃い5日間。
お礼の言葉尽くせないほど、勉強させてもらい、
楽しい時間を過ごさせてもらった。

紙漉のことや楮栽培など他の地域でもきっと
勉強できるんだろうけど、ワタシが
出会った「黒潮町若山楮」はドンピシャだった。
こういうことはなかなか「報告」では
言い表せられない。
あぁこんなステキな「宝物」伝わらんやろな。

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